先日の記事でヘルシンガーに住んでいたと書いた時点であれ?と思っている方がもしかしたらいらっしゃるかも知れませんが、改めてデンマークで何をしていたのかここで書いていこうと思います。
デンマーク独自の教育制度であるフォルケホイスコーレと呼ばれる学校にプチ留学をしていました。
フォルケホイスコーレについて詳しくは日本人向けにフォルケホイスコーレの情報提供やサポートを行なっているIFASさんのページをご覧いただければと思いますが、「人生のための学校」と言われることもある成人向けの教育機関です。
学校といえども、試験や成績がなかったり、17歳以上であれば誰でも入れる環境や、全寮制で先生も含めて共同生活をするなど、私たちがイメージする「学校」とは異なる部分も多いのが特徴です。
ここに辿り着いた背景は色々とあるのですが、やはりコロナをきっかけに自分自身を見つめ直したことが大きかったです。
ちょうどコロナ禍で有難いことに仕事は続けられていたものの在宅ワークでどこにも出かけられない日々にストレスが溜まり、これからの人生に対しても迷いが生まれていたタイミングでした。
仕事の合間に旅に出かけることが唯一といっても良い位の趣味だった人間なので、コロナでどこにも行けないなら、そういった旅の目的地になり得る場所でゆっくり働く方が幸せなんじゃないか?と思い、勢いで日本の仕事を辞めてタイに移住、現地の会社に就職するも聞いていた仕事内容と異なったり、人間関係も良好でなかったりと実はすぐに辞めてしまっていました。
その後日本にそそくさと戻ってきたものの、これまで働いていた会社でガツガツと働く体力もなく、路線変更しようとしたタイ移住で失敗したりで、働くことや自分自身に対して自信を失っていました。いくつか面接を受けて内定をいただいたりしたものの、なんだか面接での自分が作り物で、この状態で会社に入ったら迷惑をかけるんじゃないか、など負のループに入ってしまっていたので、潔く休憩期間を作ろう!と思い転職活動を一時中止、やってみたかったことをやってみようと開き直ることにしました。
そこで候補に上がってきたのが北欧でした。以前、旅行で一度行ったことがありすごく気に入った場所であったこと、また世界でも幸せな国!?とも言われる国々で実際どんな感じなんだろうか?と気になっていたので、行ってみようと決意。
観光で少しだけ訪れても国のことを深く知ることはできないだろうな、かといって30を過ぎてるのでワーキングホリデーも違うかなあと。LinkedInなどで仕事を探してみるもイマイチ条件に合うものが見つからず、じゃあお金をかけて大学院に行きたい程研究したい学問があるか?と言われるとそうでもなく、どうしたものかと考えていたときに出会ったのがフォルケホイスコーレでした。
ライフ・ジャーナル・マガジンさんの記事を始め、調べ始めるとこれは私が今まさに必要としている場所だ!と思い、早速アプライすることに。
いくつか学校を見ていく中で、やはりデンマークの実社会を知りたいという気持ちが大きかったので、首都であるコペンハーゲンに近い場所にあるInternational People’s Collegeに通いたいと思い応募。試験などは特にありませんが、自分のこれまでの経歴となぜこの学校に通いたいのかを短いエッセイで書く必要がありました。8月からのコースに3月くらいに申し込んだこともあり、学校からの返信はもう埋まっている、キャンセル待ちリストであれば入れられるよ、とのこと。
その後、半ば諦めていたGW明け頃に有難いことに枠が空いたとの連絡をもらい、これはもう行くしかない!と入学希望を伝え手続きを進めて渡航に至りました。
事前に社会人経験した後にフォルケ留学をした方のYouTubeチャンネルなどを見ていてある程度予想はしていたものの、やはり「成人」といえども若い世代が多い。そしてフォルケの中にはスポーツを専門的に学んだり映画を専門的に学んだりする学校もある中で、私が通っていた学校、通称IPCは色々な科目がある分、学べる知識は広く浅く。実際私も、哲学の授業から、ドキュメンタリーを見て議論をする授業、自然との共存を考えていく授業に、果てにはアフリカンダンスのクラスとてんでバラバラに授業を取っていました。
そのため、会社を一大決心で辞めてきたんだから同世代と必死に新しい知識を習得するために留学をするぞ!という意気込みで来られるとギャップを感じてしまうかと思います。事前にその認識を持っていたはずの私自身も、18歳になったばかりの子とどういった話をすれば良いのかと困惑したり、試験や成績がないとは言え授業に出てこない人がいることにわざわざ留学に来てるのになぜ!?とヤキモキしたりしていました笑
IPCはデンマークのフォルケホイスコーレの中でも唯一全ての授業が英語で行われる国際フォルケであり、私が在籍したタームは世界27カ国から総勢100名以上の生徒が集まって共同生活をしました。そのためデンマークに限らず色々な国の友達を作れて色々な話を聞けるのが魅力的な場だと思います。授業も対話型のものが多く、日本とデンマークの違いだけではなく、日本とベトナムとイランとドイツとカメルーンの違いなどより色々なバックグラウンドを持っている人の視点が得られるのは貴重な機会でした。また学校自体が自然と距離が近い場所にあったこともあり日々の生活で自然に触れられる環境も心穏やかに過ごせた要因だったと思います。
もちろん、良い面ばかりではなく、カルチャーや年齢の違いにより部屋の掃除から、騒がしいと感じる程度、コミュニティワークへの貢献度の違いなど様々なトラブルも付き物でしたが。笑
一方で、デンマークを深く知りたい方にとっては少し物足りない場所かと思います。先生含めデンマーク人はマイノリティであり、学校自体も英語で生活できることが売りになっているのでデンマーク語を日常的に使うこともありません。(デンマーク語の授業は受けられます!)日本人も毎ターム多く受け入れている学校なので海外にいる間くらいは日本人との関わりは最小限にしたいという方もIPCは求めている場所とは違うかと思います。
実際私も週末はあえて学校外に出て、コペンハーゲンのイベントにボランティアとして参加してみたり、現地で仕事に応募してみたり、マッチングアプリで現地の男性と会ってみたり、よりリアルなデンマークを見る、デンマークを知るために奔走していました。
長々と書きましたが、私は結論30歳を過ぎてもフォルケに行って良かった!と思えました。
学校で何を学んだか?と言われると一言で言い表すのは難しいのですが、短い期間ではありますがデンマーク社会を垣間見させてもらい自然と共存しながら生きるって幸せだなと感じられたこと、そしてこの学校で出会ったイラン人のお姉様が旅を生業としつ気の赴くままに人生を歩んでいるのを見たり、デンマーク人の60代のクラスメイトと一緒にダンスのクラスを受けたり、18歳の子が自分よりしっかりした考えを持っていてハッとさせたれこと、そのような体験を重ねる中で女性だから何歳だからなどを気にせず自分がやりたいと思うことを信じて生きて良いんだとより自然に思えるようになったことなど、直接授業で習ったことではない部分で「人生の学校」にふさわしい学びと気付きを与えてもらいました。
学校内に限らず、社会を見てきた中でこれまで結婚願望が全くなかった人間だったにも関わらず、あれ?私ここでなら結婚できるかもとふと思えたり、もう少しエコに気を遣って生きてみようと思えたり、何かコミュニティに貢献(give)できるものないかな?と考えられたり、自分の中ですごく生きやすいなと思えた社会でした。
今回の経験でデンマークがすごく好きになったものの、あくまで学生として短期でお邪魔しただけだったので、いつか社会人としてしっかり高い税金も納める立場としてデンマークで生活し、どのように感じるのかも経験してみたいなと思っています。